真夜中のサイコパス
「どう思っているって……、それは、友達だろ。

仲がいい友達」


「それってさ、私と木村菜々子は一緒くらいってこと?」


「なんでそんなこと聞きたいの?」


「興味があるから。

ものすごく知りたいから」


「変なヤツだな。

まぁ、一緒ってわけじゃないけど、そんなところかな。

これでいいか?」


「うん、いいよ。

私と木村菜々子は拓実君の中では同じくらいなんだね。

だとしたら、私が拓実君の一番になるかもしれないね」


私のこの言葉を優子が聞いたらどう思うだろう?


優子はすぐに私が別人になったって気づくかもしれない。


だって本当の私は内気で消極的で、好きな人の前で上手く話せない人だから。


私に取りついている浜中美澄が私を別人に変えているのだ。


拓実はそのことに気づいていない。


だって私と拓実がよく話すようになったのは、私の意思とは無関係に浜中美澄が拓実に話しかけていたからだ。


だから、拓実と会話をしているのは、いつだって私ではなく浜中美澄だ。


本当の私は拓実と少しも話していないのだ。


「本当におかしなヤツだよな、有島は。

もしかしたら、有島はオレの一番になるかもな。

最近、お前、キレイになったよ。

少し前と全然違うよ」


私は拓実の言葉に驚いていた。


私が拓実の一番になるかもしれないって……。


私が前よりもキレイになったって……。


それって本当の気持ちを言っているの?


私は拓実の本心を知りたい。
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