真夜中のサイコパス
この世から美澄を消したい
自分が優子を傷つけたことを知った私は、締めつけるような胸の痛みに襲われ、ぼうっとしながら一日を過ごした。


いろんなことを考えると、自分がしてしまったことの罪深さに気が狂いそうになってしまう。


顔を切り刻まれた優子は今頃、病院のベッドで寝ているのだろうか?


通り魔の犯人が私だと思い、私を深く憎んでいるのだろうか?


私は消え去りたくなる気持ちの中で、自分は空気になりたいとぼんやり思った。


そしたら私は誰も傷つけないし、自分も傷つくことがないから。


私は今日一日、誰とも話さずに学校から帰ろうと思っていたけど、そんな私の体が浜中美澄に乗っ取られ、勝手に笑い、楽しそうに話を始める。


私はそんな自分を客観的に、他人でも見るように感じていた。


どうやら、気持ちが弱って、無気力になった私の体は、いつもよりも乗っ取りやすかったらしい。


浜中美澄の幽霊は私がなんの抵抗もしないことをいいことに、まるで自分が有島咲良であるかのように振る舞っていた。


そして皮肉なことに、本当の私よりも浜中美澄が演じる私の方がたくさんの人を引き寄せる。


クラスメイトも友達も、大好きな須藤拓実も……。


浜中美澄はまるで特別な魔力でも使っているかのように、拓実との距離を縮めていた。


浜中美澄に操られている私は、きっとあの木村菜々子よりも拓実と仲が良くて、拓実の一番になるという夢すらも叶いそうなくらいだ。


浜中美澄は拓実の心をつかもうとして、私の夢を叶えかけていたけど、それでも私は浜中美澄が大嫌いだ。


私は浜中美澄の本性を知っている。


浜中美澄は自分の都合だけで、簡単に他人を傷つけることができるのだ。


邪魔者は排除するという考えの浜中美澄は、本当にサイコパスだと私は思う。


私はそんな浜中美澄になりたくない。


私の体を絶対に明け渡したいとは思わない。
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