真夜中のサイコパス
「あっ……、うわぁぁぁぁぁ!」


美澄が振り下ろしたナイフは朋子の太ももに深々と突き刺さり、朋子は自分と美澄しかいない夜の教室で、甲高い悲鳴を上げた。


朋子は太ももを刺された激痛で顔を歪め、美澄は対称的にうれしそうに笑っていた。


朋子の太ももから血がポタポタと大量に流れ落ち、教室の床を赤く染めていった。


美澄は朋子の太ももに突き刺したナイフを引き抜くと、そのナイフを不気味な笑みを浮かべている顔の前に構えて朋子に言った。


「朋子、これから裏切り者を罰する時間だよ。

正義は勝ち、悪は滅びる。

悪いことをした朋子はさ、この世から滅びて、消えていくべきなんだ」


美澄がそう言ったのを聞いて、朋子は美澄が完全に狂っていると感じていた。


理性なきサイコパスになにを言っても通じない。


だから今の美澄になにを言っても無駄だろう。


このままだと本当に美澄に殺されてしまう予感がする。


朋子は刺された右の太ももに激痛を感じながらも、美澄に背を向け、全力でその場から逃げ出していた。
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