真夜中のサイコパス
(確かに私は美澄に冷たい言葉を言ったかもしれない。

でも、どうして私がこんなにも憎まれなくちゃいけないの?

私は美澄に殺されるほどのなにかをしたの?

美澄は絶対に狂ってる。

美澄の心は完全に理性を失っている)


朋子は美澄から逃げるために全力で走ろうとしていたけど、さっき刺された右の太ももが痛くて走れなかった。


朋子は足を引きずり、廊下に大量の血痕を残しながら、校舎の外を目指していた。


もしかしたら美澄から逃げている途中で誰かに出会い、助けを求めることができるかもしれない。


そしたら、殺人鬼に姿を変えた美澄を誰かが捕まえて、私は殺されずにすむかもしれない。


その可能性は低いのかもしれないけれど、その可能性をあきらめたときにすべては終わる。


逃げなくちゃ……、逃げて誰かに助けを求めなくちゃ……。


必死に逃げる朋子とは対称的に、美澄はゆっくりと教室を出て、笑って歩きながら朋子を追いかけていた。


ちゃんと走れない朋子に三秒もあれば追いつけるという自信が、美澄の心に優越感を与えていた。


(朋子なんて私の脇役。

朋子に自分の役をわからせなくちゃ)


美澄はそんなことを思いながら不気味に笑い、再びナイフを振り上げていた。
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