真夜中のサイコパス
「ファンタジーの世界に行きたいな。

本当に拓実君と付き合えるなら」


「重症だね。

だけどさ、万が一ってことがあるかもしれないから、木村菜々子より先に拓実君に告白してみたら?

当たって砕けろ作戦でさ」


「嫌だよ、そんなの。

だって結果が見えているもん。

私の恋なんて、粉々に砕け散って終わりだよ。

せめて拓実君の気持ちが、木村菜々子から離れてくれたら……」


未来がそうなる確率が低いことを知っていながら、私はため息をつきながらそうつぶやいていた。


拓実と菜々子はまだ付き合っていないけど、互いに好きなことは周知の事実だ。


やっぱりあきらめるしかないのかなぁ……。


ずっとずっと好きだったのに……。
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