真夜中のサイコパス
「おかしいなぁ。

私が聞いた里山高校の都市伝説だと、今のシチュエーションで美澄の幽霊が出てきて、恋が成就するはずなのに」


「都市伝説なんてそんなものだよ。

きっといろんな人にこの話が伝わる度に、話だけが大きくなってさ」


「ごめんね、咲良。

期待だけさせちゃって」


「気にしなくていいよ。

私ね、久しぶりにワクワクして楽しかったよ。

もしかして、私が拓実君と付き合えるかもって思ったらドキドキしたよ。

ありがとう、優子。

優子は私の大切な友達だよ」


私はそう言って、優子に笑顔を見せていた。


きっと都市伝説の検証は宝くじみたいなものだ。


結果が出るまではいろんなことを想像して、ワクワクしたり、ドキドキしたりするけれど、結果が出たときに、やっぱりそうだよねみたいな思いが残る。


私は心のどこかでこんな結果が出ることを想像していたのかもしれない。


浜中美澄の幽霊には会いたかったけど、その願いは叶わない予感を胸の中に抱いていたんだ。


「優子、帰ろうか?」


私が笑いながらそう言うと、優子は小さくうなずいていた。


「そうだね。

帰ろう。

残念会はまた明日だね」


私たちは里山高校の都市伝説の検証を終え、一年三組の教室を出ようと歩き始めた。


でもそのとき、一年三組の教室に予期せぬ異変が起きた。


さっきまで開いていた入口のドアが勢いよくバタンと閉じられたのだ。


私たちはそれを見て心臓が飛び跳ねるほどドキリとし、教室の入口の前で凍りついていた。


(なんでドアが閉まったの?

ここには私たちしかいないはずなのに……)


私は想像もしていなかった出来事に怯え、心から恐怖していた。
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