真夜中のサイコパス
「咲良、見たよね。

教室のドアが勝手に閉まった……」


「うん、見たよ。

誰もドアに触ってないのに……」


「もしかして、教室の外に誰かいるのかな?

誰かが私たちを脅かそうとして、急にドアを閉めたとか」


「もしかしたら、そうかも……。

勝手にドアが閉まるなんてあり得ないし」


「そうだよね。

きっと誰かのイタズラだよね。

ドッキリ的なやつだよね」


優子がそう言って、ちょっとひきつった笑いを私に見せたとき、私は不安な気持ちでいっぱいだったけど、これは誰かのイタズラだって自分に言い聞かせていた。


だって、誰かのイタズラ以外でドアが急に閉まるなんてあり得ない。


こんな時間に教室に忍び込んだ私たちを脅かそうとしている誰かがきっといる。


私がそんな結論を出して、自分の気持ちを落ち着かせようとしたとき、教室の蛍光灯がチカチカと何度か点滅した後に、すべての蛍光灯がパッと消えてしまった。


私と優子は突然暗くなった教室の中で、沸き上がってくる恐怖に耐えきれず、思わず悲鳴を上げていた。
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