真夜中のサイコパス
(私の後ろになにかがいる……。

さっきまで誰もいなかった教室なのに……。

後ろを振り向いたらいけない予感がする……。

振り向いたら、後悔する予感がする……)


私はその場で凍りついたように動けずにいた。


でもそのとき、となりから聞こえてきた優子の甲高い悲鳴に、私は見てはいけないと思っていた後ろを本能的に振り返っていた。


(青白い光に包まれた女子高生……。

もしかしてあの女子高生の幽霊が浜中美澄の幽霊なの?)


痩せ型で少し背が高く、顔に火傷の跡があるその女子高生の幽霊は、優子が私に教えてくれた浜中美澄そのものだった。


もうこの教室にはいないと結論を出していた浜中美澄の幽霊だったけど、里山高校の都市伝説の通りに彼女の魂はまだこの教室をさまよっていたのだ。


私は半信半疑だった都市伝説の真実を知ったとき、自分の予想とは違って、心の中が不安と恐怖でいっぱいになっていた。


なぜなら、浜中美澄の幽霊が私たちを歓迎しているようには見えないから。


浜中美澄の幽霊は私たちを恨めしそうににらんでいたから。
< 63 / 212 >

この作品をシェア

pagetop