真夜中のサイコパス
「この教室に本当にいたんだよね。

浜中美澄の幽霊が……」


「うん、そうだね。

里山高校の都市伝説はウソじゃなかった。

午後七時に一年三組の教室で、浜中美澄の幽霊は現れたんだよ」


「里山高校の都市伝説が本当だとしたら……」


私はそこまで言うと言葉を区切り、この教室に来た目的を心の中で確認していた。


「もしかして私は木村菜々子に負けないで、拓実君と付き合えるのかなぁ?

そんな夢みたいなことが本当に起きるのかなぁ?」


私がそう言った言葉に優子はなにも言わなかった。


優子はきっと恋の成就と共に訪れるかもしれない不幸のことを考えていたんだと思う。


手に入れた幸せと同等の不幸が起きたら、私はどうなってしまうのか?


優子は直感的に私に訪れる不幸の大きさに気づいていたのかもしれなかった。
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