真夜中のサイコパス
「頼りにしていた里山高校の都市伝説も咲良の恋を成就できずか……」


「その話はもういいよ。

あの日の出来事は、私が今まで生きてきた中で、一番の恐怖体験だったんだからね。

浜中美澄の幽霊には、もうコリゴリだよ」


「だけどさ、私、心配したんだよ。

浜中美澄の幽霊が咲良の体の中に入っていっちゃうんだもん。

あれを見たときは、私もゾッとした」


「私だって、本当に体を乗っ取られるかと思ったよ」


「だけどさ、あの現象って、いったいなんだったんだろうね」


「わからないよ……。

でも、もう二度と経験したくないのは確かだよ」


私はそう言って、もう一度ため息をついていた。


結局、私は怖い思いをしただけで、拓実と付き合えそうな気配はない。


里山高校の都市伝説って、残念なお話だ。


いいとこなしで怖いだけの心霊体験でしかないのだから。
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