ガラスのハートのシンデレラ



『美亜!ご飯は!?』



もちろん私にはそんな余裕などまったくもってない。断じてない。



「ごめんママ!いらない!!てかもう行くね!!!」



『あ!美亜!!ちょっとまって!』



────ガチャ



勢いよくドアを開けて外へ駆け…



出したのはいいものの、



「あっっ名札忘れた!!!」



なんで私はこんな肝心な時に忘れ物をしてしまうのか。
制服の着こなしもままならないというのに!



つべこべ言っている暇もなくマッハで家に戻る。



「ママーーー!!!泣」



『名札でしょ、はい!さっき呼んだのに!

ほらもう仕方ない、送ってってあげるから車乗りな!』



なんて用意のいい母なんだ。と思ったのと同時に、だったら今頃遅刻なんてしてないか。とも思う。



圧倒的に私が2度寝したのが悪いんですけどね!!;;



(ていうか今思えば走って学校まで行こうとしてたのは無謀だったな…)



(確実アウトだったよ…)



なんて考えていたら、もう校門の前だ。なんて速いんだ、車は。



「ママありがとう!!後でね!!」



────ガチャッ



『しっかりねー!』



そんな声を耳に残して、駆け足で玄関に向かう。



(よかった、間に合ったぁ…)



私の中学校生活は、ドキドキでもワクワクでもなく、ただただハラハラしながらスタートしたのであった。



< 2 / 8 >

この作品をシェア

pagetop