ガラスのハートのシンデレラ
(あ、そういえば、私急ぎすぎて名簿番号とか確認してない!!)
そんな大事な事に今更気が付く。
(私如月だから結構早い方だと思うんだけどな…)
(でも周り知らない人ばっかりだから全然わかんないよ~;;)
(あーーどうしよう!!!?まぁ適当に混じっとけば…)
そう思った時だった。
『えーっと、如月さん??』
そう後ろから声を掛けられた。低めだけど、透き通っている感じの声…でも、全く聞き覚えのない声…
びっくりして勢いよく振り向く。
するとそこには、絵に描いたようなイケメンが立っているではないか…
そのせいで2度びっくりしてしまった。
髪は流行を取り入れてる今どきな感じで、サラサラで、背も中1にしてはやたら高くて、170cmくらいはありそう…?
顔は小さくて、だけど目は大きくて、超くっきりな末広二重瞼。まつ毛もビューラー使用後みたいに長くくるんとしていて、鼻筋も通っててめっちゃ綺麗…滑り台できそう…
まさに2次元から飛び出してきたかのようなリアル王子様ビジュアルすぎて、現実にこんな人がいるんだぁって、何十秒もまじまじと観察してしまった。
『如月さーん…??』
超美少年のその一言でハッと我に返った。
(やばい、ガン見しすぎた…絶対引かれてる;;)
そう思いつつも、なんか話しかけられてるし、誤魔化すのも変だし…
でもほんとに私!?なんでこんなイケメンが私なんかに…
もしかして如月って他にもいる!?
色々な思いが頭の中を飛び交っている中でも、その美少年は 「?」 という表情で私の事を見ている。
えーい、どうにでもなれーー!!!
「は、はい…!私ですか…!?」
『あ、急に話しかけてごめんなさい!』
『如月さんって、確か名簿12番だよね?俺と前後だったから覚えてて…』
(あ、私って12番なんだ!?)
「あ、そうなんですね!?教えてくれてありがとうございます;;」
(あああ まって、そうなんですねっておかしいでしょ;;
自分の番号も把握してないんだって思われたらどうすんの!)
『教えてくれてありがとうって笑 もしかして知らなかった??』
(ほらやっぱりバカにされてるよ~~;;)
「いや、それが、朝超急いでたから確認する暇もなくて…」
『あー!今日ギリギリだったもんね!』
「ごめんなさい、皆に迷惑かけちゃって…」
自分で言ってて恥ずかしさで死にそうになる。
あ、そういえば初対面だけどタメなんだ。いや、同級生なら普通??
敬語の私の方が変かな…!?いや、タメは嬉しいんだけどね!
ていうか、初日なのにギリギリにきてどう思われたかな…
その間にも他人からの評価を1番に気にしてしまう。
きっと周りから見れば
「気にしすぎ」
「いちいちそんなことばっか考えてて何なの?」
「めんどくさい」
そう思われるのは自分でもわかっている。
でもどんなに些細なことでも、気付けば脳内反省会を開いてしまうのだ。
自分でも何にこんなに怯えて、何にこんなにも気を使っているのかわからない。ただ、嫌われるのが怖いだけ。
『迷惑って、なにが??俺、別に何も迷惑なんて思わなかったけど』
きっと笑われて終わりだろうな、なんて思ってた私には予想外な返答だった。
「だって、私が遅かったから待たせちゃったし、、、」
『なんで?誰かになんか言われたの?迷惑って』
「いや、なにも…」
『少なくとも、俺は待たされて迷惑なんて全然思わなかったけどな~。
そもそも、待たされたとも思わなかったかな?笑
だってたまたまほんとちょっと遅れちゃっただけでしょ?』
『だから、如月さんが謝る必要はどーこにもないし!
如月さんの事責める奴なんてどーこにもいないの!
皆自分のことで精一杯でしょ!笑』