キミから「好き」と、聞けますように。
「七菜ちゃん、浴衣着たんだ! とっても可愛く似合ってるよ」
ひなが褒めると、七菜ちゃんは嬉しそうに笑いながら、その場をくるくるくるっと回った。
「えへへ、これね、かかといっしょにえらんだゆかたなの! なな、みずいろがだいすきだから、これにしたの!」
七菜ちゃんは、浴衣ドレスの裾を持って、ひらひらと動かした後にわたし達の食べている綿菓子を見つめた。
「わー、さゆきちゃんとななちゃん、わたがしたべてるの? おいしそう!」
「食べる?」
「いいのー?」
「はい、どうぞ」
わたしが、七菜ちゃんに綿菓子を差し出すとぱあっと満面の笑みを浮かべた。
……ふふっ、ほんと可愛い。七菜ちゃんて、食べるのが好きなんだなぁ。
七菜ちゃんは、わたしの持っている綿菓子にパクッとかじりつく。
「おいしい! ありがとう!」
「どういたしまして」
「悪いな、温森。なんか、食い物のこととなると、いつもお前らにいろいろもらってばっかりな感じで。ほんと悪いな」
東條くんは言いながら、わたしと目を合わせてくれているけれど、やっぱり暑いからなのかいつもより顔が赤い気がするのは気のせいだろうか。