キミから「好き」と、聞けますように。
わたしが俯いている間に、花火がもうすぐ打ち上げられるというアナウンスが聞こえてきた。
「あっ! かんにいに! はなび、もうすぐだって!」
「そうだな」
「ほんとに、はやくみたいな〜。はなび、はなび、はなびー!」
七菜ちゃんは、そう言ってぴょんぴょんと飛び回りながら、あちこちを回る。
「はいはい落ち着け。そんなはしゃいだら、誰かにぶつかって怪我するぞ」
東條くんはそう言って、七菜ちゃんの両肩を支えた。
しばらくして、パーン! と大きな音とともに、大きな花火が打ち上がり、キラキラと輝きながら、紺色の空に溶け込んでいく。
その後にも、また大きな音とともに花火が紺色の空をどんどんカラフルにしていく。
きれいだなぁ……。
「わぁ、大きいねぇ……」
ひなが、横でうっとりと見上げている。
「そうだね」
わたしは、数度頷きながら言った。
反対側の横を見ると、東條くんが花火の光に照らされて、なんだかいつもより優しく見えた。
「……なぁ温森」
「うん?」
「なんだか俺さ……」
東條くんは、何か喋ったようだけど聞こえなかった。
その場所だけが、
花火が咲く音に、飲まれていった。