キミから「好き」と、聞けますように。

「それじゃあ、またな」



花火大会が終わり、東條くんがわたしとひなにそう手を振った。



「うん、またね」



「さゆきちゃん、ひなたちゃん。バイバーイ!」



七菜ちゃんが、東條くんと手を繋いでいて、もう片方の手を大きく振った。



「七菜ちゃん、バイバーイ」



「バイバーイ」



ひなが先に七菜ちゃんに手を振り、わたしも後から手を振って別れる。


わたし達は、東條くんとは反対の道へと進む。



「いやあ、良かった! 紗雪のこと花火大会に連れて行って」



東條くんの姿が完全に見えなくなってから、ひなは大きく伸びをしながら言った。



「うん?」



「だってさ、このままにしたら、紗雪、絶対東條くんに自分から近づこうとしなかったでしょ!」



「は!?」



ひな、わたしを花火大会に誘ったのはそれが狙いだったの!?



「だったらひな、最初にそれが狙いだったってこと、なんで内緒にしてたの!?」



「それを先に言っちゃったら、紗雪、『東條くんと必ず会えるとは限らないでしょ』って言って引きこもる可能性が高かったんだもーん」



「もう、ひなー!」



わたしは、スキップするひなを急いで追いかけた。




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