キミから「好き」と、聞けますように。
第4章 君が優しい理由
紗雪side
今日の1時間目は、LHR。
文化祭の出し物についての話し合いだった。
「出し物で、何か案はありますかー?」
文化祭実行委員の人が、教卓の後ろに立ってハキハキとした口調で尋ねた。
「はいはーい! スタバ風なんてどうですか?」
後ろにいる、女の子が手を上げながらそう言った。
「スタバ風?」
「スタバだったら、このクラスで何人かバイトしてる人もいるし、他のクラスと被ることはないと思うんです!」
「はい、わたし、コーヒー作れまーす!」
「俺も飲食でバイトしたことあるから接客やれまーす!」
みんなは自分の経験をどんどん話し、さっきまで静かだったのが嘘のようにガヤガヤとし始めた。
「はい、静かに!」
パンパンと手を叩きながら、担任がクラスを静める。
「スタバに反対意見ある人はいますかー?」
実行委員の言葉に、何も答えないみんな。
「他の意見はありますかー?」
再び、何も答えないみんな。
「では、うちのクラスはスタバにしたいと思います!」
「イェーイ」や「やったー!」など、そんなにスタバ風にすることに決定されたのが嬉しいのか、と思わず心の中で呆れてしまった。