キミから「好き」と、聞けますように。

「えー、でもすごいもんはすごいよ! ね、東條くん」



ひながそう言った後に、東條くんが頷いてくれたのは嬉しいけれど……。

でも、それはわたしに優しいからだと思うっ……!



だってわたしはケーキとかだったら割と作ったりするけれど、和菓子を作ったりすることだってできないし、アイスも上手には作れない。


小学生の夏休みも、アイスを手作りしてみた時があったんだけど、まるでシャーベットみたいにシャリシャリした食感になっちゃったんだっけ。


……そういえば、東條くんの家は和菓子屋さんだったな。
あの時食べたおはぎも、東條くんのお母さんの手作りだったんだよね。

和菓子ってどうやって作るんだろう。



「おーい、紗雪。どうしたの?」



ハッと顔を上げると、ひなはすでにいちごジャムのドーナツを食べ終えていたみたい。



「もう、あの人に褒められて気が遠くなったの?」



小声で、ひなはヒソヒソと尋ねてくる。



「違うっ!!」



「えー、隠さなくてもいいのに。次は飲み物の試飲だよ」



「あっ、そっか……」



いつの間にか、わたしの作ったスイーツの試食は終わっていたみたい。




< 109 / 183 >

この作品をシェア

pagetop