キミから「好き」と、聞けますように。
「えー、でもすごいもんはすごいよ! ね、東條くん」
ひながそう言った後に、東條くんが頷いてくれたのは嬉しいけれど……。
でも、それはわたしに優しいからだと思うっ……!
だってわたしはケーキとかだったら割と作ったりするけれど、和菓子を作ったりすることだってできないし、アイスも上手には作れない。
小学生の夏休みも、アイスを手作りしてみた時があったんだけど、まるでシャーベットみたいにシャリシャリした食感になっちゃったんだっけ。
……そういえば、東條くんの家は和菓子屋さんだったな。
あの時食べたおはぎも、東條くんのお母さんの手作りだったんだよね。
和菓子ってどうやって作るんだろう。
「おーい、紗雪。どうしたの?」
ハッと顔を上げると、ひなはすでにいちごジャムのドーナツを食べ終えていたみたい。
「もう、あの人に褒められて気が遠くなったの?」
小声で、ひなはヒソヒソと尋ねてくる。
「違うっ!!」
「えー、隠さなくてもいいのに。次は飲み物の試飲だよ」
「あっ、そっか……」
いつの間にか、わたしの作ったスイーツの試食は終わっていたみたい。