キミから「好き」と、聞けますように。

東條くんが作った、バニララテを飲む。
優しい甘みが、体全体に行き渡ってなんだかふわふわする。



「不味く……ない?」



「美味しいよ!」



「良かった……」



わたしは笑顔で言って、東條くんもにこりとした表情で返してくれたけれど、顔をすぐに逸らされた。


”美味しいよ“っていう言い方じゃ、ダメだったのかな……?



「ん! これも美味しー」



オレオクッキーチョコフラペチーノを飲んでいるのは、ひなだった。



「うん、こっちもお客さんに出しても問題なしだね!」



東條くんの作った飲み物も、いろいろな人が美味しいと言っている。


東條くん……わたしのことは才能あるって言うのに、自分の才能に気づいてないのかな……?


東條くんは、頭もいいし、スポーツもできるし、こうやって飲み物を作るのも上手。


どこからどう見ても、わたしよりもずっと東條くんの方が才能溢れた人間としか思えないよ。


“東條くん、勉強も運動もできて飲み物作るのも上手なんてすごいよ!”


なんて、わたしが明るくキラキラとした表情で言えるような可愛い女の子だったらどれだけ良かったことか……。




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