キミから「好き」と、聞けますように。

「あの、差し出がましいことをお聞きしますが……2人が付き合った経緯っていうのを、教えてもらってもいいですか……?」



わたしがおずおずと聞くと、ミノリちゃんはコクンと頷いてくれた。



「もちろんです。そのことを話しに、来たので」



2人は、元々同じ野球仲間の幼なじみだったようだ。

中学2年生になったばかりの頃から付き合っていて、最初はいい関係を築いてはいたようだけど、高校生になってから急に戸田くんはミノリちゃんに対して『露出の多い服を着ろ』『長い髪の毛でごまかすやつは、本当の美人じゃない』などと、あれこれ見た目に関してうるさくなったらしい。


それでも嫌いになりきれなかったけれど、わたしとカラオケで会ったことで疑い始め、大沼くんに聞いた後でミノリちゃんは戸田くんを振ったということだった。


いくらなんでも自分の感情に任せて、人を簡単に突き飛ばしたりした後に反省もできない人間とは、付き合いきれない、と。




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