キミから「好き」と、聞けますように。
「あぁ……そう、だったんですね……」
なんだかびっくりした。
あの時睨まれて以来、わたしはミノリちゃんに何かしら嫌悪感でも持たれてしまったんじゃないかと不安になったけれど。
こうやって話してみると、思ったよりもすごくいい人だった。すごく素敵でかっこいい人だった。
「あはは、あたし見る目がなかったなー!」
彼女はそう言って笑っているけれど、なんだか眉は垂れて見える。
「あっちは別れたつもりがないみたいだから、あたしは仕方なーく今日の文化祭も来てあげたんだけど! でも、これで完全に吹っ切れた! もうあんな奴の言うことなんか聞かない! あいつがいる場所になんて、どこにも近づかないって決めた!」
ミノリちゃんはそう言った後に、ふぅ、と息を吐いた。
「温森さん? だっけ?」
「あ、はい」
「あの時カラオケでいきなり睨んだり、失礼なことを言ったりして、ごめんなさい」
「い、いえっ!!」
思わずわたしは、慌てて首を横に振ってしまった。
「それと……」
前置きを置いた後に、ミノリちゃんはニコッと口角を上げた。
「抹茶スコーン、ごちそうさま。あれ、最高に美味しかった」
そう言って、ミノリちゃんは校門を出ては姿を消していった。
それでも最後に残してくれたミノリちゃんの言葉は、わたしの心をゆっくりとあたためてくれた。