キミから「好き」と、聞けますように。
文化祭が終わり、今日は振替休日だ。
わたしは、東條くんが「奢らせてくれ」と言ってくれたことで、待ち合わせ場所であるカフェに行った。
薄めの長袖で、ラベンダー色のワンピースを揺らしながら、わたしはすでにカフェの前で立っている東條くんに手を振った。
「いらっしゃいませ、2名様でよろしいでしょうか」
店員さんの問いかけに、東條くんが律儀に「はい」と答えて、わたしと案内された席に着く。
「本当に奢ってもらっちゃっていいの?」
「いいよ、文化祭の時に美味いドーナツ食わせてもらったし、お礼ってやつ」
それは、試食してもらっただけなんだけど……。
「まあ、俺に遠慮なんか絶対しないでくれよ。ほら、頼めって」
そう言いながら、東條くんはメニュー表を開いた。
「わぁ、美味しそう……!」
ケーキにパフェ……ハニートースト……。
どの写真も美味しそうで、目移りしてしまう。
たくさん悩んだけれど、わたしは最初に目に入った、ハニートーストにした。
きつね色のパンに純白のバニラアイス、はちみつ、そしてさくらんぼまで乗っている。