キミから「好き」と、聞けますように。
「それ…………の?」
東條くんは何か喋ったみたいだけど、周りのざわざわとした会話にかき消されてしまって何を言ったのか聞き取れない。
「……え? なんて言ったの?」
「それ、好きなの?」
東條くんは、口を大きく動かしながらゆっくりと喋ってくれた。
「うん!」
東條くんの頼んだ、いちごとブルーベリーが乗ったケーキもすごく美味しそうだ。
赤と紫の彩りもすごく綺麗だし、まるで宝石箱の中に保管されていたかのように輝いている。
生クリームも、真っ白でくるん、となっていて綺麗に絞られている。
「東條くんって、苦手な果物とか、ないの?」
「……ないねぇ。ガキの頃とかも、朝に果物とか食わされてたからかなー」
「そうなんだぁ……」
きっと、ビタミンとかも考えて東條くんのお母さんは果物を朝に出してあげたんだろうなぁ。
あの時会った日も、すごく息子想いのお母さん、って感じがしたし。
小さい頃から、丈夫な体になるようにいろいろ考えられて食べさせられたんだろうなぁ。
背が高いのは、お父さん似もあるけれど小さい頃からの食生活も関係しているのかな?
ケーキを食べる東條くんを見てから、わたしも自分のトーストを頬張った。
ホコホコとあたたかいトーストに、冷たいアイスが喉をヒヤリとさせた。
真っ赤なさくらんぼを食べると、甘酸っぱい汁がブワッと口いっぱいに広がった。