キミから「好き」と、聞けますように。
「紫杏ちゃん、ここで何か用なの?」
「あそこの信号渡ってすぐ曲がったところに、ドラッグストアでさ、ちょっと買いたいネイルがあるんだけど付き合ってくんない? あたし、紗雪ちゃんと陽葵ちゃんともっと一緒にいたいし」
さすが、おしゃれさんだなぁ。
紫杏ちゃんらしい事情だ。
「うん!」
ひなが、わたしの隣で首を大きく縦に振っていた。
「わたしもネイルとか見てみたい!」
「えっ、ひ、ひな……」
「あれ、もしかして紗雪ちゃん。これから事情でもあるの?」
紫杏ちゃんがそのことを考えだしたのか、眉を少し下げながら聞いてきた。
「いや、ないけど……」
行けるなら行きたいという気持ちはあるけれど、わたしに似合うネイルなんてないような気がしてならない。
「こんなこと、きっと滅多にないよ。だからさ、紗雪。行ってみようよ!」
そう言われてみれば、ひなの言うとおりだ。
わたし、考えてみればネイルとか一度もやったことがない。
「……うん、そうだね!」
「そうとなれば、レッツゴー!」
ひなは、拳を大きく空に向けながらわたし達と歩いた。