キミから「好き」と、聞けますように。
「ひなは、買うの……?」
「うん。これ見た瞬間、ピピっと来ちゃったからね。紗雪、それともどっちにしようかなーって迷ってたりしてるの? もしそうなら、どれとどれ?」
ひながあまりにぽんぽんと話を進めてしまうので、わたしは慌てて「違う違う!」と両手を横に振った。
「似合うか自信なくて……」
わたしがポツリと言うと、ひなは「えー」と唇を尖らせた。
「そんな考えしてたら、もったいないよ。後で買えばよかったって後悔した後に、また別の日に行ったらなくなっちゃってる可能性だってあるし。そうしたら、ずっと後悔だけついてくるよ?」
それはそうかもしれないけれど、買ったら買ったで使わないままなのも、このネイルチップが可哀想に思える。
「で、何がほしいの?」
「こ、これ……!」
わたしは、リボンのついたピンクのネイルチップをひなに見せた。
「うわぁ、可愛いじゃん! 絶対似合うって、紗雪!」
「なになにー? 可愛いの見つけたの?」
紫杏ちゃんが、顔をこっちの方に向けてきた。
「うん、紫杏ちゃん! 紗雪、これが気に入ったみたい!」
「可愛い! いいと思うよ、紗雪ちゃんは可愛いからこういうデザインのをつけたら、絶対素敵になるって!」
「じゃ、じゃあ買おうかな……?」
結局わたしは2人に流され、買うことに決めてしまった。