キミから「好き」と、聞けますように。
「ね……ねぇ紫杏ちゃん」
「ん? なあに?」
わたしは、ひながお会計しているのでわたしは待っている間に前から気になっていたことについて聞いてみることにした。
「紫杏ちゃんが耳につけている、それはなあに?」
わたしは、紫杏ちゃんの耳についているそれを指さした。
「補聴器のこと?」
紫杏ちゃんは、耳につけているそれを触りながら聞き返してくる。
……それ、補聴器なんだ。名前しか知らなかったから、実物は初めて見た。
「あたし、実はこう見えて小さい頃から原因不明の難聴なんだー。補聴器つければ、問題ないから聾学校とかじゃなくて普通の学校通ってるんだよ」
大変だろうに、なんでもないという風に笑顔で答えている紫杏ちゃんを見て、わたしはハッとした。
……そうか。
なんだか、今までよく分からなかったことで一気にパズルが収まったかのように分かってきた。
どうしてわたしが言葉を聞きづらいことに、こんなにも理解してくれるのか。
どうしてわたしがこんなに東條くんに安心して話しかけられるのか。
どうしてわたしにいつも優しいのか。
こういうことだったんだ。