キミから「好き」と、聞けますように。
プルルル、プルルル……。
家の中に入り、ベッドに腰掛けた途端にバッグの中で鳴り出すスマホ。
スマホの画面にあるのは、アイコン、その下には『ひな』の2文字。それから1番下は、緑の電話に出るボタンと、赤い着信拒否ボタン。
「ひなぁ……!」
緑のボタンを押して震える声のまま、わたしは電話に出た。
『ちょっと、紗雪! 一体、何があったの!? どうして結局買わなかった上に、先帰っちゃったのー!?』
わたしは思いきって、ひなに紫杏ちゃんのことを話した。
『……紗雪』
わたしの話を聞いた後、しばらく無言だったひなは、急に冷静な声になった。
『確かに不安にはなると思うよ? でもさ、ちょっと端折りすぎじゃない?』
「……え?」
『紗雪の心の中で、東條くんがどんな人だと思っているかっていう気持ちが端折ってるってことだよ』
東條くんがどんな人だと思っているかっていう気持ち……。
『言い方を変えればさ、それ、東條くんが障害がある人を腫れ物のように扱ってる人って決めつけてるのと同じだよ』
「はっ……!」