キミから「好き」と、聞けますように。

今日は、製菓専門学校の受験日だった。

書類選考も面接も、先生に聞いてもらっていたから大丈夫だとは思うけれど、自信は正直なかった。



「紗雪! お疲れさま!」



最寄り駅に着いて電車を降り、外に出るとひなが待っていてくれた。



「ひな!」



「どうだった?」



「やっぱ緊張したよ……。合否、ドキドキしちゃうや……」



わたしは、思わず自分の胸に手を当てながら答えた。

そんなわたしに、ひなはふふっと笑う。



「まあ、そうなっちゃうよね。でも大丈夫! 紗雪は自分の力を出し切ったと思うよ。もう終わったんだから」



「うん、ありがとう! ひなも、大学受験、頑張ってね!」



「ありがとう、紗雪……」



ひなは笑顔で言ったけれど、すぐに『あ〜!』と震えた声を上げた。



「次にドキドキするのは、もうわたしの方だ! わたしの方がもっと危ないよー!」



「大丈夫大丈夫、ひなだって頑張ってるんだから!」



わたしは、ひなの背中を優しくトントンした。




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