キミから「好き」と、聞けますように。

と、東條くんって全然話したことないけど、実際どんな人なんだろう?



「なあ温森」



東條くんに名前を呼ばれて、わたしは咄嗟に彼の方に顔を向けた。


ちゃんと……聞き取らないとっ。


聞き取れないと、また怒らせちゃう……!


……そんな願いは叶わず、結局わたしは今東條くんが言った言葉を聞き取れなかった。



「ごめん、もう1回言ってもらっていい?」



そう言いながら、わたしが今出した人差し指や話す時に動いていた唇がぶるぶると震えていたのが自分でもわかった。


……お、怒られるっ!



「ああ、わりぃ。俺、滑舌が良くないからなぁ」



わたしが想像していた言葉とは、全く逆だった。


や、優しい……!


初めてだよ、わたしが聞き取れないことでこんなに男子から穏やかに接してもらうの。


しかも、思わなかった。




まさか、こんなことで謝られるだなんて。




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