キミから「好き」と、聞けますように。

「はやく申し込まないと、チケット締め切られちゃうんじゃない?」



「あぁ……」



この話をしていると、ふと東條くんのことを見てしまい、一瞬だけ目が合ってしまった。


……東條くんも、わたしの推しが鈴李さんであることは知っているからね。


そう思いながら思わず見てしまっていると、気がつけばもう東條くんはわたしから目を逸らしていた。


クリスマスライブか。
わたしは思わず、スマホを出してもう一度調べてみる。



「あっ」



確かにあと数日で、申し込まないと間に合わない。


1回、この切ない気持ちを忘れて推し活をしようかな。


わたしは、チケットの申し込みへとスマホの操作を進めた。



「よし、応募できたよ!」



それでも、なぜか目はチラチラと東條くんの方に行ってしまう。



「……ねぇ紗雪」



わたしを呼んだひなは、なぜか唇を噛み締めていた。



「うん?」



「ちょっと来て」



ひなは、わたしの手首を掴んでそのまま教室を出て歩いた。



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