キミから「好き」と、聞けますように。

クリスマスライブ当日の日がやってきた。

今日は雪も降っていて、特に寒いと聞いたので、1番あたたかいキャメル色のコート、それからフードのついたマフラーを身につけた。



「お母さん、行ってきます」



「行ってらっしゃい、帰り気をつけるのよ」



寒さ対策のための、もこもこしたスノーブーツを履いて、わたしはライブ会場へと向かった。


まず初めの一曲は、『メリークリスマス、そばにいないキミへ』だった。
彼氏と別れた女の人が、クリスマスの時に元カレを忘れられず今年も一緒に『メリークリスマス』と言い合いたかった、という切ない失恋ソング。


その次は、『ターコイズ』。
ターコイズというのは、12月の真っ青な誕生石のこと。1年前のクリスマスに付き合い始めた2人は、12月25日が自分達カップルの誕生日だということで、ターコイズのアクセサリーを輝かせながらキスをするというロマンチックな恋愛ソング。


自分の弾くギターの音色に、歌声を乗せていく鈴李さんをポーっと見つめていると、いつの間にかライブは最後の曲を歌い終えていた。



「ありがとうございました、鈴李でした」



客席のあたり一面のペンライトは、とてもカラフルで、まるでクリスマスツリーに飾られた、たくさんの飾りのようだった。




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