キミから「好き」と、聞けますように。

「ん……!」



目を開けると、わたしはベッドの中で眠っていた。


あの後、どうなったんだっけ。


そう思いながら、わたしはゆっくりと起き上がる。
目に入ったのは、布団の上にあった靴下。


あ、これはそうだ。

昨日履いていて、洗濯カゴに入れるのを忘れていた靴下だった。


あの後、わたしは家に帰って。
お母さんには、必死に涙を見せないようにしながらご飯を食べて、お風呂に入って。


歯磨きをした後、泣きながら眠ってしまったんだ。


何気なくわたしは、あのスイーツ柄のメモ帳を手に取る。


他の歌手が歌った歌詞ももちろんあるんだけど、やっぱり鈴李さんの曲が多いこのメモ帳。

そして目に入ったページは、あの時の『鳴いた胸の声』の歌詞が書かれてあった部分だった。


……苦しいな。


推しのことを考えているつもりが、なぜこんなにも苦しくなるんだろう。



『鈴李の歌?』



『へえ、上手いじゃん』



なぜ、かな。
なぜ、鈴李さんのことを考えたいだけなのに脳内に浮かぶのはキミに関することばかりなのだろう。




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