キミから「好き」と、聞けますように。
紗雪side
12月29日。
わたしは紫杏ちゃんにメールをもらって、校舎裏へと行った。
「紫杏ちゃんは……」
紫杏ちゃんの姿は、辺りを見回してもどこにもいなかった。
まあでも、紫杏ちゃんは他校生だからまだ来ていないだろうな、きっと。
「温森」
そこへ、東條くんが現れた。
「と、東條くん!?」
わたしは、思わず後ずさりをした。
「待てよ、温森!」
そう言った東條くんは、怒っているようにも見えたし、悲しそうにも見えた。
その言葉で、わたしの両足は止まる。
「お、お前なぁ……。勝手に決めつけるなよ!」
「はっ……?」
「なんで、俺が耳が聞こえにくい幼なじみいるってだけの理由でお前と関わってるってことになってんだよ!」
「えっ……なんで、そんなこと……」
どこかで、ひなとそう話している時に聞かれていたの……?
「長嶺から聞いたんだよ」
「ひ、ひな!?」
いつの間に……。
「長嶺のやつ、紫杏に温森のこと連絡したらしくて。それで俺も知っちまったんだよ。……だけどな」
そう、だったんだ。
ひなも紫杏ちゃんも、わたしのことを……。
「温森。温森 紗雪」
わたしを叱るような口調で呼ぶ、東條くん。
「好きなんだよ」