キミから「好き」と、聞けますように。
「温森の力になりたいのは、好きだからなんだよ」
「え……?」
「俺は、温森が。温森 紗雪が、好き」
彼が言った言葉は、ずっとずっと前からわたしが言ってほしいものだった。
『好き』と、聞けた……。
七夕で書いた願い事を思い出す。
『あの人から「好き」と、聞けますように』
叶った……。
まさか、こんなにはやく叶ってしまうだなんて……。
「好きって、今……」
「本当だよ」
夢ならば、覚めないでほしい。
ううん、夢じゃない。これは、夢じゃないんだ。
自分の手をグッと握ると、手のひらに食い込んできた爪の痛みが、それを教えてくれる。
「それと、これ」
東條くんが渡してきたのは、白いレースのついたリボンの箱だった。
「開けてみても、いい?」
「ん」
わたしは左手で箱を抱え、スルッと右手でリボンをほどいた。
開けてみると、姿を現したのはリボンのついたピンクのネイルチップだった。
「はっ……!」
これ、あの時わたしがひなと紫杏ちゃんの3人で行った時に買おうと思って買わなかった、あのネイルチップだった。
そっと見上げると、東條くんは何故か赤面していた。
「とー、じょう……くん?」