キミから「好き」と、聞けますように。
「俺は、温森のことが好きで好きで、なんとしてでも喜ぶことをしたいあまりに買ったんだよ」
わたしの喜ぶことをしたいあまり……。
わたしは、思わずそのネイルチップが入った袋を胸の辺りで抱きしめた。
「ありがとう、東條くん」
わたしがそう言うと、東條くんはさっきまでとんがっていた唇が、ふっと微笑んだ。
「もう俺の気持ちは分かったな、紗雪」
さゆき……!
「い、今……。東條くん……」
聞き間違いじゃ、ないよね?
「ほら、紗雪も。“東條くん”じゃなくて」
「えっと……」
わたしも、呼ぼう。
「かん……た」
わたしの唇が、彼の下の名前を放った。
「寛太!」
くすぐったい気持ちが、わたしを包んだ。