キミから「好き」と、聞けますように。

「もうすぐ年明けるなぁ」



そう言って、寛太が周りを見回す。

気がついたら、もう辺りは暗くなっていた。



「そうだね」



「紗雪。来年の目標は、なんかある?」



「うーん……」



目標って、いざ聞かれるとすぐには答えられない。



「製菓専門学校行って、そこでお菓子作りの知識を身につけて、今よりももっとお菓子作り上手になって……」



わたしったら、もう専門学校のことに対しての目標ばかりだな。



「やっぱそうだよな」



隣で、寛太がふっと笑っている。



「俺は、紗雪が聞き飽きるってくらいに、紗雪に『好き』って言う」



「年が明ける前に、言えてよかった」



……わたしも。



「わたしも、年が明ける前に聞けてよかったよ……」



勇気を出して言ってみたけれど、心臓がドキドキと激しく鳴り出しては止む気配がない。



「言った後は、やっぱりこれだな」



そう言って、急にわたしに近づいてくる寛太。
みるみる寛太の唇が近くなり、わたしの唇とくっついて、チュ、と音が鳴った。



これからも、キミから『好き』と聞き続けることができますように。




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