キミから「好き」と、聞けますように。
昼休み。
お弁当を食べ終えたわたしは、机に小さなリングノートを乗せて開いた。
パフェやアイスの絵が描かれた、スイーツ柄の可愛いリングノート。
パッと見た感じでは、子供っぽくて高校生が持ち歩くのは恥ずかしがる人もいると思うけれど、わたしはこれをお店で見た瞬間、ピピっときちゃって他のノートは考えられなかった。
スマホで、わたしは好きな歌の歌詞が書かれたページを開いて、ノートに自分で書いていく。
「鈴李(すずり)の歌?」
低い声が降りかかってきて、顔を上げると東條くんだった。
「あっ、うん……」
「鈴李、好きなんだ?」
「うん! わたしの、推しって感じの? とにかく、好きでよくノートに書いちゃうんだよね」
あははー、と笑いながらわたしは、わざと明るく振る舞った。
鈴李さん、というのはシンガーソングライターでギターの弾き語りがすごく上手な人。
わたし自身、鈴李さんを知る前はギターの弾き語りは激しい歌が多いと思っていたけれど、この人だけは違った。
優しいメロディーで、時々泣きたくなるような歌詞に、思わずずっと聴いていたくなっちゃうのだ。