キミから「好き」と、聞けますように。

「あ、あのぉ……」



和菓子屋さんへ行くと、わたしを見て寛太のお母さんがパッと笑顔を見せた。



「あら!? あなた、紗雪ちゃんじゃない!」



「こ、こんにちは……! な、名前を覚えていただけて、光栄ですっ!」



わたしは思わず、サッと頭を下げた。
寛太のお母さんは、豪快に笑う。



「あはは、緊張しすぎよ」



「そ、その……寛太くんは……?」



「寛太? 寛太に会いにきてくれたの?」



「あ、はい」



それが分かった寛太のお母さんは、悲しそうに微笑んだ。



「ごめんなさいねぇ、寛太今出かけてるのよ」



「あぁ……」



残念だなぁ。

まあ、そんなに運が良く物事が進むわけがないもん。



「寛太ならねぇ、あそこに行ったと思うのよ」



「あそこですか?」



わたしは、寛太のお母さんに居場所を聞いてみた。




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