キミから「好き」と、聞けますように。
頭に衝撃が走った。
紗雪は俺のために、バレンタインのクレープを作ってくれていたのか?
俺が土井川と会う約束をして、一緒に過ごしている時間を見ていたのか?
なんてバカなことをしたんだ。
紗雪はきっと、泣いていただろう。
紗雪だけは、絶対に泣かせたくなかったのに。
俺は、一体どうしたらいいんだ?
「とりあえず、ミノリちゃんと何があったの?」
「それは……」
俺は、土井川と過ごしていたことを長嶺に話した。
「なるほどね。仕方ないから、わたしが話しといてあげる。東條くん、ミノリちゃんのことについて説明したいって。でもこれからは、彼女以外の異性と過ごすためには、ちゃんと事前報告するようにね。もう恋人同士なんでしょ」
こんなにも、俺は周りの人間に頼りっぱなし。
情けないと言われても、非難はできない。
けれど俺はなんとしてでも、紗雪に謝りたい。
真実を聞いてもらいたい。