キミから「好き」と、聞けますように。
クレープを食べ終えて、寛太はハート柄の紙を畳んでゴミ箱に捨てた。
「ありがとうな」
「あっ……うん」
「つーか、ありがとうって言っても足りねぇな。俺、土井川と会うのは紗雪に事後報告って形になって、その上クレープ作ってくれるとかさ……」
「だって……どうしようもなく好きなんだもん」
わたしは、言いたかったことを言っただけなのになぜだか顔が熱くなってしまった。
「ね、紗雪」
わたしの名前を、クレープよりも、ブラウニーよりも、アイスよりも、甘く甘く呼ぶ寛太。
「今の、もう一回言って」
「えっ……!」
「もう一回」
「無理っ……!」
わたしは、スクールバッグで顔を伏せて思い切り首を横に振った。
「ねえ紗雪」
「な、何……?」
寛太は自分の手でわたしの顎を持ち上げて、目を合わせてきた。
「顔、リンゴみたいに真っ赤なんだけど」
「だって、寛太のせいっ……! それに、それがなんだって言うの……?」
「余計可愛くなってる」
もうダメだ。
こんな卑怯な手でわたしを幸せな気持ちでいっぱいにしてくるものだから、寛太は本当にずるい。