キミから「好き」と、聞けますように。

あれから1ヶ月弱が経過した。
今日は、ついに卒業式だ。

わたしは製菓専門学校に行くけれど、わたしよりずっと頭のいい寛太は、偏差値の高い名門大学、D大へ行くことになる。

避けられない現実なのは分かっているけれど、寛太ともう同じ学校じゃなくなることを実感するとやっぱり寂しくて、もう少し高校生をやっていたいなと思う自分がいる。


胸元には、実行委員の子たちが用意してくれた花の飾り。

高校生最後の式典ということで、わたしも身だしなみのチェックをしていたところだった。



「温森さん、ちょっといい!?」



わたしを呼んだのは、隣のクラスの田中くんと橋本くんだった。



「どうしたの?」



わたし達、何かあったっけ。

田中くんとは1年、橋本くんとは2年の頃に同じクラスだったけれど、それ以外特になんの関わりもなかった気がする。


わたしは首を傾げつつ、2人に手招きをされる方へと行った。




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