キミから「好き」と、聞けますように。
「わたしにはもう、大切な人がいるの」
わたしは2人の目をしっかりと見て言った。
「ごめんなさい」
わたしはもう一度謝る。
「そんな顔しないでよ。笑顔になってよ」
田中くんは、笑顔で言った。
「俺たち2人は、温森さんを好きになったのと同じ。それから、温森さんに幸せになってほしい、その気持ちも同じなんだよ」
橋本くんも、優しい声で言ってくれた。
「付き合うことはできないけれど、立派な卒業式にしようね!」
「おう!」
2人の声が重なる。
「温森さんは、製菓専門学校に行くんだよね?」
「うん!」
「絶対に夢を叶えてね!」
「応援してるよ!」
「ありがとう! 田中くんと、橋本くんも卒業しても頑張ってね!」
しかしこの後、教室から戻ってきたわたしを見て、寛太の様子が変だった理由が、わたしには分からなかった。