キミから「好き」と、聞けますように。
俺が頼んだブラックコーヒーを飲んでいると温森は、
「東條くん、歌わないの?」
と、瞬きをしながら聞いてきた。
ぎくっ。
そういえば、温森に歌わせてばっかで俺自身はなんも歌ってねぇな。
まあ、当然なことなんだけどな。
だって俺自身、歌うことじゃなくて温森の歌を聞くことを目的としてきたんだ。
……って、こんなことを温森に話せるかよ!
「そ、そのさ。リクエストとかってある?」
突拍子もないことを言っちまった。
絶対、温森が困るだろ。
「リクエスト?」
「温森、歌とか詳しいだろうなって思ったから。つい……」
どんな誘いだよ。
ったく、俺は温森に何をさせてんだか。
「じゃあ、もし知ってるならでいいんだけど……」