キミから「好き」と、聞けますように。

えっ、リクエストあんの!? マジかよ!?


って、興奮するなよ、俺。


温森が言っているのは、あえて言うなら、という意味に決まっているだろうが。


俺がそんなことを考えていることも知らずに、温森はタブレットに触れてポチポチと文字を打っている。



「あの、これ……歌ってもらってもいい、かな?」



温森が見せてきたのは、『ボールズ』というバンドの『指輪』だった。



「割と大人な恋愛ソング、だよな。それ」



そう、指輪は大人が彼女にプロポーズをするという曲だ。


これは俺らの親世代で公開された歌だけど、かなり知名度が高くて同級生で知っている奴も多い。


やっぱ温森も知ってんだな。


なんて思いながらチラッと温森の顔を見ると、さっきよりも顔がめちゃくちゃ赤い。


え? ゆでダコ?


そう思ったけど、なんだこれ。
俺の顔も熱い。まさか、俺も負けじと顔赤い?


カラオケってこんな暑かったっけなー?




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