キミから「好き」と、聞けますように。
「えっと……本当に知ってたらでよくって……というか、知っていてもあんま好きじゃないなら、全然……」
温森は、しどろもどろだ。
……えーい、もう振り切っちまえ!
「歌う!」
俺はそう言って、予約ボタンを押した。
当然、温森が予約した歌は全て歌い終わって沈黙が流れていたため、すぐに指輪のイントロが流れた。
やべぇ、俺、声が震えまくっているかも。
歌っている間は、ずっと俺の声の調子はおかしくて、呪われてるんじゃないかと思った。
……というか、絶対呪われているだろう。温森の鈴のような声に、間違いなく俺は呪われた。
「上手だよ……。ありがとう、ごめんね、こうやって歌わせることになっちゃって」
歌い終わった後、温森はさっきの俺みたいに拍手をしてくれた。
「いや、それは俺のセリフだから」
どう考えても、俺がいうべきことだ。
俺は一曲だけだけど、温森は何曲も歌ってんだから。
……あっ、そろそろ出ないといけない時間だ。