キミから「好き」と、聞けますように。

カラオケを出て、温森と別れてから俺は自分の家へと帰る。


ガチャ、と鍵を開けて家の中に入る。



「ただいまー」



「寛太、おかえりー」



奥の部屋から、母さんの声が聞こえる。商品の確認でもしているんだろう。

うちは、和菓子屋を営んでいて父さんも母さんも家で働いているようなもんだ。



「かんにいに!」



奥の部屋から、髪の毛を三つ編みに結ったちっちゃな女の子が俺にぎゅうっと抱きついてきた。



「おお、七菜(なな)!」



七菜は、俺の姪っ子で5歳。


俺が兄貴とは10歳も離れているので、まるで妹のような存在だ。

七菜も七菜で、俺のことは叔父には見えないようで、幼い頃から俺を『寛太』と『にいに』を混ぜて『かんにいに』と呼んでいる。


家も近く、七菜はよくここへ遊びに来る。




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