キミから「好き」と、聞けますように。
「ねえ、かんにいにー。かんにいにもクレープやさんにいこうよー」
「く、クレープかぁ」
俺は、別に甘いものをそんなに食べない。
断固拒否とまではいかないけれど、別に食べるべきじゃないし、食べたいと思う時がない。
だから父さんや母さんが作る和菓子も、あんこを使われた羊羹よりも、醤油の味がする煎餅の方が好きだったりする。
誕生日やクリスマスのケーキも、そんなに喜ばないタイプだ。
「いいんじゃない? 甘くないクレープだってあるんだから、今度、七菜と一緒に行ってきなさいよ」
「えぇ〜」
母さんにまでそんなことを言われちゃ、断れない。
「じゃあ、明日とか行くか?」
「きょうはダメなのー?」
「今日って……。今日はもう七菜、クレープ屋行ったんだろ? 1日に2個も食べる気か? 晩飯入らなくなるだろ?」
「うぅー……かかと、おなじこといってる……」
『かか』というのは、七菜の母親にあたる人で、俺の兄貴の奥さん。すなわち俺の義理の姉だ。
兄貴と義理の姉は、七菜に『とと』、『かか』と呼ばせているらしい。
「じゃ、今日はおとなしくして、明日まで待つんだな」