キミから「好き」と、聞けますように。
翌朝、俺はいつも通り学校へ行って温森の隣の席に座る。
温森はすでにもう自分の席に座っていて、スマホとノートを置いて、相変わらず集中して歌詞を書き続けている。
……よく集中できるよな。
「あ、おはよう」
俺の気配に気がついたのか、咄嗟に顔を上げて挨拶をする温森。
「おう」
鈴を振った声で挨拶され、俺は思わずそっけない反応をしてしまった。
俺がこんなことしか言わないから、もう温森は視線を戻してノートに歌詞をまた書き始めてるし。
「紗雪。おーはよ」
肩まで伸ばした黒髪の女子が近づいてきては、温森の背中をポンと叩く。
「あ、ひな」
「今度はなんの歌?」
温森の友達の長嶺 陽葵、か。
俺も女子だったら、長嶺のようになれんのかなぁ。
……って、俺は一体何を考えているんだか。