キミから「好き」と、聞けますように。

紗雪side


『へえ、上手いじゃん』



あの時の言葉って、聞き間違い……じゃないんだよね?
歌が上手いなんて、言われると思わなかった。


思い出すたびに胸に手を当てると、心臓の音がいつもよりも激しくドクドクと音を立てている。


上手い、か。
嘘でも嬉しい。



「生まれてきた、初めての気持ち……」



って、これはあの時に歌った鳴いた胸の声の歌詞の一部なんだけど。


初めての気持ちが生まれてきたのが、自分でも分かった。



「紗雪?」




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