キミから「好き」と、聞けますように。
ふと我に帰った。
そっか、わたしは今ひなと会話していたんだった。
全く、なぜいきなりカラオケのことを思い出していたんだろう。
「ごめん、ひな。つい、ぼーっとしちゃった」
「ついぼーっとしたどころじゃないでしょ、なんかぶつぶつ言ってたし、顔がちょっと赤かったし、手なんか急に胸の方当ててたし」
「えっと、えーっと……」
なんだか、言い逃れができそうにないな。
ひなは口元に柔らかな笑みを浮かべているけれど、目が笑ってないし、コテンと首を傾げているし……。
「アレでしょ? 紗雪」
「あ、アレ?」
「“こ”から始まって、“い”で終わるものじゃないの?」
もう言っちゃってるじゃん!
思わずわたしは、目を泳がせた。
「その……」
「ね? いいでしょ? 教えてくれても」
「じゃ、じゃあ放課後、あそこ来てね……?」
わたしは、それだけ言っておいた。