キミから「好き」と、聞けますように。
「あぁ、美味しかった! 疲れとれましたよ、紗雪のお母さん。ありがとうございます」
クレープを食べ終えるなり、ひなは元気にそう言った。
「ええ、こちらこそありがとう。甘いもの食べたくなったら、またいつでも来てちょうだいね」
「はーい!」
……食べるの速いなぁ。ひな、よっぽど甘いのが食べたかったんだね。わたしなんて、まだ半分くらいしか食べ終わってないのに。
「あ、やっば!」
クレープの紙を捨てたひなは、スマホを見るなり目を見開いた。
「どうしたの!?」
「ごめーん、紗雪。わたし、部長の家でダンス部の打ち合わせしなくちゃいけないんだって。もう行かないと!」
「ありゃ、それは行かなきゃだね」
「じゃあね、紗雪! また明日!」
「うん、バイバーイ!」
ひなは、自分の肩まである黒髪を踊らせながら走り去っていった。
「おねえさん」